行知学園日本語教師養成講座

日本語教師の養成講座体験記 第3回
試験直前!試験対策でやるべきこと

更新日:2023/10/12

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日本語教師の養成講座体験記 第3回試験直前!試験対策でやるべきこと 

4月から日本語教師養成講座を受講中の島津さん(仮名)に、講座で学ぶ内容や学校生活などのお話を伺う、養成講座体験記の第3回。養成講座でどんなことを学べるのか、学校の様子がどんなものなのか、日本語教師養成講座の体験談を密着取材していきます。
日本語教育能力検定試験が目前に迫る今回は、島津さんが行っている試験対策について聞いてみました。

日本語教師に興味があるという方必見の体験記です。

島津さん

島津 綾さん 日本語教師を志す、20代前半の女性。
現在は東京近郊にひとり暮らし。
仕事をしながら資格取得を目指すため、土曜日コースを選択。1年かけて修了を目指す。好きなものは歴史。


内容や課題は本格的なものに。養成講座後半へ

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編集部(以下、編集): 最近の学校の様子はどうですか?

島津さん(以下、島津): 学校というか…わたし、8月とても体調崩しちゃって。

編集: どうしたんですか!?

島津: 8月の1週目で熱中症になっちゃって。今まで少しくらい体調悪くても頑張って通ってたんですけど、初めて「もう無理」ってなって、途中退席しちゃいました。

しばらくは、仕事から帰ってきてはとにかく寝て…っていう生活で、そのときクラスの友達がすごく助けてくれて。プリントこれあげるよ、先生こう言ってたよ、っていろいろ教えてくれて、とても助かってます。

平日も仕事頑張って行って、家でも睡眠時間削って勉強して、ってしてたら、そのあとも、2〜3週間風邪ひいちゃって。
治ったと思ったら、うしろの席の人がすごい咳してて、案の定、3週目も風邪もらっちゃって。勉強がほとんどできてなくて焦ってます。
まわりも風邪ひいてる人多いのに、宿題とか試験勉強とかタスクが多いから、マスクして完全防備するようになりました。

咳の人にも「マスクしてよ!」って言いましたけどね(笑)。今は追いつくために必死です!

編集: それは大変でしたね…。確かに土曜クラスだと、1日の授業内容が多いから、1日休むだけですごく進んじゃいますよね。

島津: そうなんですよ!だから、風邪のときも、もう休めないって思って、フラフラになって学校に行きました。

8月は、体調悪くて寝てるか、病院行ってるかなので勉強する時間が少なかったです。熱があっても机に向かって勉強するんだけど、全然頭が回らなくて、かなり大変でした。
10月には試験の本番が控えてるので、体調管理は大事なんだと痛感しました。

クラス内でも風邪をひく人が多かったので、みんな勉強と課題とで忙しかったり、免疫落ちたりしてるのかなって。

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編集: 授業の内容も変わってきてますか?

島津: 来週、実習があるんですよ!ずっとグループワーク形式だったのが、いよいよ教案を作るところから、教壇に立って授業するまで実習するんです。

といっても、勝手に教案作るんじゃなくて、先生から「このテーマで、こういう流れで作ってきなさい」って指示があるので、生徒は指示に沿うように教案作るんですけど。

今は実習クラスの人数が多いから全員発表できないので、何人かがランダムで選ばれて発表になります。誰が当たるかわからないから、みんな練習してきてくださいね、っていう。

編集: なるほど。授業全体の進捗としてはどの程度なんでしょうか?

島津: 今は全体の4割くらいが修了したところだと思います。

もうすぐ日本語教育能力検定試験があるんですけど、わたしたち土曜日クラスは、まだ全体の4割くらいしか授業で習ってないので、自力で勉強しなくちゃいけない部分がまだたくさんあるんです。

普段の授業も難しいので復習は相変わらず必要だし、ハードになってきた宿題とか実習の準備とかをこなしながら、試験勉強もして…結構てんてこ舞いです。
試験勉強は更に本腰入れて勉強しなきゃいけない。

編集: クラスメイトで日本語教育能力検定試験を受験する人は、ほかにもいますか?

島津: ほとんどだと思います。
この間、先生が「日本語教育能力検定試験を受ける人?」って聞いたときに、ほとんどの人がバッて手を挙げたから。9割くらいは受けるんじゃないかな、と思います。

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オンライン試験対策講座の効果とは?

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編集: 島津さんは、検定対策はどんなことをしていますか?

島津: とにかく問題を解いていくスタイルは変わらないです。

あとは、いまは、通ってる学校のオンライン講座を受講しているので、その動画をみて、先生が言ってることをまとめて、わからないことはとにかく頭に叩き込んでます。

ほかにも、学校で配られるレジュメをよく見て理解を深めて、授業で配られる問題を解くとか。

授業の内容をきちんと理解しないと解けない問題があるので、問題を解いて答えを覚えるというより、ちゃんと理解することを心がけてます。

編集: オンライン講座も受講してるんですね。

島津: はい、8月頭から始めてます。

1動画、約3時間になっていて、先生が懇切丁寧に教えてくれます。

オンラインの検定対策講座では、検定で出やすい傾向を話してくれるから、授業では知ることができなかった情報が得られてとても助かってます。

編集: クラスメイトのみんなは、どんなふうに勉強してますか?

島津: いま、クラスの中でも勉強で疲れてる人とやる気ある人で分かれてる感じです。

やる気のある人は、昼休みとか休み時間に問題集を持ち寄って答え合わせしてます。
過去問には解説が付いてないので、昼休みに答え合わせしている生徒も、なんでこれが正解なのかっていうのを聞きあってるんですよ。授業中もずっと考えてて、休み時間も考えてるから、1日の授業が終わるころにはぐったりしてます(笑)

答え合わせじゃないグループは、昼休みになると「ごはーん!」って退散する人たちとか、寝る人たちとか。

わたし自身は最初答え合わせのグループで一緒に問題解いてたんですけど、最近は学校の図書館へ行って過去問とか問題集を見たり、ごはん買いに出かけたりしてます。

編集: 基本的に、わからないことはクラスメイト同士で助け合ってるかんじなんですね。
答え合わせを一緒にしているということは、同じ問題集ですか?

島津: 使ってる問題集はみんな同じです。過去問の26年度版を解いてます。
この問題集も学校で買うとかではなくて、本屋で買えるものです。

どれが使える?試験対策の問題集

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編集: 試験対策について教えてください。
今、過去問の話もありましたが、どの問題集が一番役立ちますか?

島津: ヒューマンの問題集は解説が付いていてわかりやすいです。ただし、そのあと実際の過去問を解いてみると難易度が全然違って、過去問の方が難しかったです。だから、初めて検定試験の勉強するっていう入門者用としてはいいんじゃないかなと思います。

それに対して過去問の方は、ひねりの効いた難しい問題が多い。
例えば、外国語の教授法でTPR(Total Physical Response ※)と呼ばれる指導法があるんですけど、日本語で言うと全身反応教授法っていうんですよ。わたしたちは普段はTPRって言ってるんですけど、試験のときには「全身反応教授法」って表記になっていて、「そんなの知らないよー」って思うんだけど、自分が知らない別称なんですよね。

だから過去問を解くことが重要だと思ってます。過去問の問題は、解答だけついていて解説が付いていないので、自分で「どうして正解なのか、間違いなのか」を理解するのがネックだと思います。

問題集は、本屋で買えますが、結構大きい本屋じゃないと見つけにくいかもしれないですね。あとは、日本語学校が近くにある本屋だと、置いてある場合があるかもしれません。

編集: 島津さんにとって、日本語教育能力検定試験ってどんな意味がありますか?

島津: これから日本語教師の需要ってまだ増えると思うんです。そうなると、最終的に優遇されるのって、資格持ってる人だと思うから、取れる資格は取っていこうと思います。

わたしの通ってる学校では、土曜講座で検定試験に受かるのは難しそうな気がして…。というのも、試験の時期だと、講座全体の進捗では半分くらいなので、習ってない知識は自分で勉強していかなきゃいけないからなんですけど。

そもそも、日本語教育能力検定は試験自体合格が難しいもの。先生になってから試験合格もかなり難しいといわれています。授業ができるからといって受かるような試験じゃないので、授業を現役で受けていて、知識量がある今のうちに合格したいです。

試験に合格したいのは、クラスのみんな同じ想いなんですけど、大学卒業してない人とか、行ってない人たちは、かなり必死に勉強してます(※)。試験は年々、ひねりが効いた難しい問題になってきているそうなので、傾向と対策という意味では、やっぱり試験対策講座を受けるのは、個人的にはアリだと思いますね。

※TPR(全身反応教授法)
先生(指導者)が生徒(学習者)に、学習言語を使って指示をし、生徒は動作または言葉で反応する、という指導方法。例としては、先生が生徒たちに「Stand up.」指示をしたら、生徒は立ち上がるという動作で応える、というもの。

※日本語教員の要件
日本語教員の要件は、1.大学において日本語教育の主/副専攻 (もしくは日本語教育課程の単位取得)、2.日本語教育能力検定試験の合格、3.文化庁が受理した420時間以上の養成講座を修了+学位(大学卒業)
詳しくは「未経験から日本語教師になるには資格が必要?」を参照。

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モチベーション維持の工夫

編集: 前回もモチベーションについて聞きましたが、実際は今回の方が大変そうですね。

島津: そうですね。宿題を負担に感じてる人とか、先生の言ってることを復習するのが難しい人とか、試験のプレッシャーとか。
クラスのみんなも疲れが出始めています。

編集: 授業によっては楽な科目もあるのかな?

島津: わたしは、この学校の授業っていうのは、練習したことを発表する場だと思ってるんですけど、発表すると、先生が突っ込んで聞いてくれるので、「そこもやらなきゃいけないんだ」って気づけるんですよ。

授業中に「これなに?」「これはどうして?」って問題を投げかけてくれる先生もいれば、知識として必要な情報を講義してくれる先生もいるんですけど、どっちが楽ということはなくて、どちらもそれぞれ厳しいという感じです。
楽な科目はない(笑)。毎回刺激があって楽しいですよ。

編集: ほかにはどんなふうにモチベーションを高めてますか?

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島津: クラスメイト同士では、教授法とかで習った言葉を使って励まし合ったりからかったりしてます(笑)。
例えば、サジェストペディア(※)って用語があるんですけど、「試験どうしよう!」って不安になってる人に「はい!サジェストペディア!」って言い合ったりしてます。

編集: それは楽しそうですね。

島津: あとは、この間授業の後に懇談会がありまして。先生を囲んで、なんで日本語教師目指したのかとか、いろんな話を聞く機会があったんです。

わたしは独身で1人暮らしという条件でこれから日本語教師を目指すので、生活のことが一番心配でした。それで、非常勤講師でも生計が立てられるのかとかをたくさん質問したんです(笑)
今は日本語教師養成の講座の専任教師だけど、以前は日本語教師をの非常勤を10年くらいしていた先生が、非常勤講師一本で食べてたって話をしてくださって、勇気が出ました。わたしもこの先生みたいに頑張るぞって。

最初に日本語の非常勤講師を始めるときって、たいてい実家に助けてもらったり、主婦の方が夫の生計の中でやっていく人とか、定年退職してからやる人が多い。 若年層、独身、1人暮らししている人が日本語教師を非常勤から始める場合、アルバイトを掛け持ちしないと生活できないって思ってたんだけど、先生が「非常勤のころからひとりで頑張れば授業できる!」て言ってて、かっこいい、わたしも頑張ろう!って思いました。

※サジェストペディア
不安や緊張要素を取り除き、学習環境を整え、潜在能力を活性化して学習効果を高めるメソッド。リラックスできる音楽をかけたり、教師が朗読するなどして、心地よい環境で学習することで、集中力や記憶力を高め、より効果的に学習する方法。

編集後記 日本語教師養成講座では、日本語教師として必要な基礎的な勉強から始めるので、後半にかけて内容は難しくなっていくようです。
実習でも、教案づくりや教壇に立つ場面で、学習した内容を引き出すような内容の濃いものになっていくので、課題の比重が大きくなっているのを感じました。

また、土曜日コースのメリットは平日働きながら通えることですが、1日分の受講内容が多くなるので、欠席すると追いつくのが大変というデメリットがあります。
1日の学習時間も長いので、通い続けるためには体調管理が重要になります。しかし、実際に日本語教師として働く場合は、授業の準備や課題の採点などで忙しい日々が予想できます。養成講座に通っているうちに、自分と向き合い、自分に合う生活リズムや体調管理の方法を模索し、備えるのも手だと思います。

日本語教育能力検定試験の対策としては、過去問を中心に問題を解く練習が重要だということがわかりました。問題を解きながら、どうして正解か、間違いなのか、という根本の理解を深めることが最も重要ですので、わからない部分はきちんと勉強して回収するステップが大切です。
学習の意欲を保ち続け、計画的に勉強することが前提ですが、問題の傾向や特性などにおいては、試験対策用の講座を受講するのもひとつの手段です。

また、モチベーションの維持では、日本語教師養成講座に通っている人は、検定試験の受験者同士で励まし合ったり、問題を出し合ったりすると良さそうです。試験だけではなく、全体的なモチベーションアップとしては、身近に「こんな先生になりたいな」というロールモデルがあると、目標ができて頑張る意欲が湧くと思いました。

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