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この記事を書いたのは
Miku
日本語教師養成課程で資格を取得し、日本語の指導歴は7年目。
学生時代はイギリスへの交換留学の経験もあり、卒業後は日本語教師として働きながら、フランスでワーキングホリデー留学と語学留学を経験。
現在はマルタ島在住で主にフリーランスで活動する傍ら、「日本語教師ナビ」のライターを務める。
日本語教師に必要な英語力に関しては、明確な基準が存在しません。
しかしながら、日本語教師として働く前に、英語力があった方がいいのか、どの程度の英語力が要求されるのか、という点は知っておきたいですよね。
そこで今回は、日本語教師に必要な英語力について詳しく解説していきます。
結論は、英語力がなくても日本語教師になることはできますが、英語で教えられるスキルを身につけておいた方が、教師としての活躍の幅が広がります。
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教師が日本語を教える方法には、直接法と間接法の2つがあります。
直接法は「日本語を日本語で」指導する方法で、直接教授法とも呼ばれています。
一般的な日本語教師養成講座では、この直接法を中心に学びます。
直接法での指導は、リスニング・スピーキングの学習に効果があります。
一方で、間接法は「日本語を日本語以外の媒介語で」指導する方法で、間接教授法ともいいます。
媒介語として使われるのは、英語・中国語・フランス語などの学習者の母国語や、学習者と教師の共通語です。
間接法は、文法などの知識を導入する学習に適しており、学習者は複雑な内容を正確に理解することができます。
このように、日本語教師に求められる英語力は、直接法と間接法のどちらで教えるかによって、おおよそ把握することが可能です。
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日本語教師に英語力が求められる場合は、主に以下の2パターンで、基本的に間接法での指導を行います。
みなさんが初めて英語を勉強する場合、日本語での説明があれば、深く理解できると思いますが、日本語を学ぶ外国人にも同様のことがいえます。
初級レベルの学習者は、どんなに簡単な日本語で説明されたとしても、日本語で日本語を理解すること自体が難しく、挫折しやすいです。
そのため、初級クラスでは、学校側もしくは学習者側から、英語での説明を求められることが多々あります。
英語は世界共通語として扱われていることから、非英語圏の学習者でも、ある程度は理解できることが多く、間接法で指導をすることで、初級レベルの学習者は日本語の基礎をしっかりと築くことができます。
欧米圏で働く場合は、英語を用いた間接法で指導することが一般的です。
ヨーロッパでは、英語を母国語としない国が多数ありますが、その国の言語(ドイツ語やフランス語など)ができなければ、英語力を求められるケースが多いです。
特に、文法などの複雑な内容は、英語での指導が期待されています。
また、学習者からの質問も英語になるので、欧米圏で働く場合は、日本語教師に英語力は必須であるといえます。
アメリカやオーストラリアなどの英語圏では、採用選考の段階で、正しい英語を使えるかどうかを、厳しくチェックされることもあるようです。
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私は、日本語教師を始めて今年で7年目ですが、今まで日本語を教えていて、英語力を要求されたことが結構ありました。
割合としては、初級レベルの学習者からの文法や助詞に関する質問が多く、英語で回答をする必要がありました。
実際に私が受けた質問を、いくつかご紹介します。
このように、初級レベルの文法と語彙力では、日本語で説明しても理解が難しい内容のものが多いため、英語を話せる学習者とは、英語でやり取りをするケースがほとんどです。
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日本語教師に英語力が問われない場合は、大きく以下の3パターンがあり、直接法での指導が好まれます。
中級〜上級レベルの学習者は、日本語での説明を求めることが多いので、日本語教師の英語力はあまり問われません。
日本語を流暢に話すためには、日本語を日本語のまま理解するトレーニングが必要です。
そのため、大半の学校は中級以上のクラスで、直接法での指導を積極的に取り入れています。
中級レベルは、日本語能力試験(JLPT)だとN3〜N2に該当し、人によっては複雑な内容を理解できるので、日本語のみのレッスンでも対応可能な学習者が増えてきます。
私のレッスンでも、日本語レベルが中級以上だと、分からないことがあっても英語に頼らず、日本語で解決しようと試みる学習者が多い傾向にあります。
国内で日本語を指導する場合、直接法を用いることが主流となっているため、日本語教師が英語を話せなくても、大きな問題にはなりません。
日本語教師養成講座で直接法を中心に教えるのも、このような背景があるからです。
国内の日本語学校には、中国・ベトナム・タイなど、アジア系の留学生も多数在籍しています。
したがって、英語で指導をすると、英語圏の学習者が有利に、非英語圏の学習者が不利になってしまうので、日本語での指導が推奨されています。
ただし、欧米圏の学習者が大多数を占める学校では、間接法を取り入れており、教師にも一定の英語力が求められます。
アジア諸国でも、日本語を教える時は直接法での指導が基本となっているため、日本語教師に英語力はあまり求められません。
例えば、韓国や中国では、直接法で教えている日本語学校が多いです。
しかし、フィリピン・マレーシア・シンガポールなど、英語が公用語となっている国では、状況が異なります。
それらの国々では、英語を使った間接法でレッスンが行われているため、教師もある程度の英語力を要求されます。
英語が得意な日本語教師の応募を促すように、求人を英語表記にしている学校もあるくらいです。
ここまでで、日本語教師には英語力が必要な場合もあることを、ご説明しました。
日本語教師に必要とされる英語力の目安は、TOEICだと700点以上、英検だと2級以上といわれています。
ただ、日本語教師の英語力に関しては、はっきりとした基準があるわけではなく、以下のように学校によって異なるのが現状です。
また、英語圏の国や英語を公用語としている国だと、詳しい文法説明ができるくらいの高い英語力を要求されるケースが多いです。
学習者の英語力がネイティブレベルだと、TOEIC800〜900点を持っていたとしても、実践的な英語力がなければ、レッスンを進めていくことは、かなり難しいです。
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中級レベル以上の学習者に教える場合や、日本・アジア諸国で働く場合は、日本語教師の英語力は基本的に問われませんが、身につけておいた方が有利です。
前述したように、非英語圏の学習者でも、英語をある程度習得している人は多いです。
そのため、求人に英語力の条件が記載されていなくても、実際のレッスンでは、英語の説明を取り入れた方が、学習者に伝わりやすいことも多々あります。
また、日本のTOEIC平均スコアは574点(2021年)であるため、700点以上の英語力を保持している日本語教師は、希少性が高い存在です。
最近では、国内の日本語学校でも、採用する前に、教師の英語力をチェックする所も増えてきました。
したがって、日本語教師として英語力をあげておくと、さまざまな場面で役に立つでしょう。
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近年、日本語学習者の数は増加傾向にあり、2021年時点で国内の学習者は約12万人、海外の学習者は約379万人もいます。
学習者の国籍も多様化していて、オーストラリア・中国・タイ・ベトナムなど、さまざまです。
ゆえに、世界共通語である英語を用いた間接法を学んでおけば、日本語レベルや国籍に関係なく、教えられる学習者の幅が広がります。
英語での間接法に特化した日本語教師養成講座を提供する通信講座も増えているため、余裕があればサブスキルとして、英語を使った教授法を学んでおくとよさそうです。
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日本語教師ナビでは、ロンドンで働いている、現役日本語教師にインタビューしました。M.Nさんは、もともと英語が堪能だったのですが、現地で働いているうちに英語力を客観的に証明する必要性に気付いたとのことです。
今の目標は、英検1級を取得することです。実はこれまで資格にはこだわっていなかったんですが、英検1級を取得すると、プロフィールをプロフィシェンシーレベル※に変更できることに気付いたんです。
生徒さんはそこまで日本語教師の英語力にこだわっていない方も多いので、念のため、という部分が大きいのですが。今後可能な範囲で授業料の向上も目指していきたいですし、この仕事で一生食っていくためにも、頑張りたいですね。
※プロフィシェンシーレベル…ネイティブに近い英語能力を習得しているレベル
今回は、日本語教師に英語力が求められるケースと、実際に必要な英語力について解説しました。
中級〜上級レベルの日本語学習者に教える場合や、日本・アジア諸国で働く場合、日本語教師に英語力を求められる場面は少ないです。
しかしながら、実際の教育現場では、英語力があれば役に立つ事例が多いのも現状です。
したがって、これから日本語教師を目指される方は、日常会話レベル以上の英語力を身につけること、可能であれば、英語で日本語を教える間接法を習得することを、おすすめします。
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