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日本語教師と国語教師が同じなのかどうかを考える前に、まずは、日本語と国語のコンセプトに違いがあるのかどうかを考える必要がありますね。
日本で生まれ育ち、日本の義務教育を受けてきた人たちからすると、日本語が国語ですので、「国語教育」と「日本語教育」は同義であるように感じられます。
それでは、日本人が日本で教育を受ける「国語」と外国の人が勉強する「日本語」も同じなのでしょうか。
国語教師の経験があり日本語教師歴6年の南野さんに、その違いを聞いてみました。
南野さん
2児の母。現在育休中ですが、6年の現場経験があります。
経験者の立場から丁寧に解説します!
国語教師は日本語を母語とする、主に義務教育が始まる7歳から10代の生徒に、母語としての日本語を教えます。
対象になる生徒は日本で生まれ育ち、同じ年齢というほぼ同じ環境で、すでに日本語を話せて聞くことができる状態です。また9年〜12年という長い期間、公立や私立の小学校や中学校、高校などの教育機関において、読み書き、話し聞くという四技能は全て教えます。
授業は国の教育方針をもとに、同じ学習目標を達成するためにおこなわれなければならないので、学習指導要領に基づいて行われます。
ただし、絶対に教えなければならない事項を、どのように教えるかということは教師にある程度任されているので、例えば教科書に出てくる作品についてどのようなアプローチで子供たちに教えていくかというのも自由で、教師によって教え方はそれぞれだと思います。
特に教科書に出てくる作品を題材とした授業などは、教師のオリジナリティが出やすいと思います。ただ作品を読ませて、言葉の意味を教えて、必修漢字を覚えさせてという単調な授業では、子供たちに興味を持たせて理解を促すのは難しく、例えば登場人物の気持ちを捉えるために、絵で表現させたり、クラスで劇に取り組んだり、ディベートやシンポジウムを取り入れたりすることもあり、一つの単元をある程度まとまった期間で教えられるので、急がずじっくりと教えられるという特徴があると思います。
ただ教師の仕事として国語科以外の学校行事やクラブ活動など様々な任務がありましたので、教材研究の時間が充分にとれにくいという現状はありました。
日本語を母語としない学習者に、外国語としての日本語を教えるのが日本語教師です。
対象者は、それぞれ異なった母語を持つ学習者だったり、年齢、文化、学習歴、学習目的、日本語レベルも様々な学習者で、教える場所も国内外の日本語学校、大学、専門学校、ボランティア教室、プライベートな自宅など様々です。そのため、学習者の目的は日本で生活するためなのか、進学するためなのか、仕事のためなのかをまず把握し、そのために必要な内容を的確に選択して目的達成のために必要な言葉、文型などを教えなければなりません。
また学習期間は数週間から大学に入るまでの2年間など、比較的短期間の場合が多く、能力試験や受験を控えていることも少なくないため、最初にしっかりと計画を立てて、効率よく、文型などの取りこぼしがないように教えます。
日本語学校の場合は試験や受験などの日程から逆算して、最初にカリキュラムが綿密に立てられますし、一クラスを2人〜3人の教師で担当するということもあって、その日の自分の担当の箇所はできるだけ翌日に持ちこさないように時間配分なども気にしながら、授業をしていました。
また学習者の母語が日本語ではないので、教えるときに使う日本語が限られている条件で、教えなければなりませんでした。ただし、上級クラスで大学を受験を控えているクラスなどは、高度な日本語を使って教えることができるので、読解の授業などは中学や高校の現代文の授業のような教え方ができます。
また企業研修などでは、機械や道具の名前や、商売に関する会話表現などに限定して教えることもあり、専門用語中心だったり、会話に限定した授業など、必ずしも読み書き、話し聞くという四技能を全て教えるとは限りません。
日本人が学ぶ国語と、外国人が学ぶ日本語では、教え方が全然違います。
文法は国語の場合、中学校で未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形・命令形、また活用の種類を五段活用・上一段活用・下一段活用など教えますが、日本語教育では外国人が日本語を理解しやすくするために、例えば品詞ではイ形容詞・ナ形容詞、活用形はナイ形・マス形・テ形・タ形・辞書形・タラ形というように、より実用しやすい視点で教えるところが国語の文法の教え方と違うところです。
また例えば、日本語教育の動詞の活用では五段動詞をを第1グループ、一段動詞を第2グループ、不規則動詞を第3グループというように教えますから、国語教師の資格を持っているからと言って、日本語教育で外国人に文法が教えられるというものでは全くないということが、日本語教師の勉強を始めてからよくわかりました。
また国語教育は教える対象が子供で、学習したいという意思に関わらないというところで、授業は生徒指導も関わってくる場合もありましたが、日本語学校では生徒の学習目的がはっきりしているという違いがあります。それが私が日本語教師の道を選んだ理由でもあります。
また教え方の違いだけでなく、私が経験した中学校と日本語学校の生徒で比較すると、高度な日本語で教えられるけれども、まだ子供である生徒と、日本語レベルは低いけれど、中身は大人の精神を持っているという生徒とでは、似ているようで全く異なるものだと思います。中学校も日本語学校も授業で教える場面だけではなく、様々な状況や問題に直面することは少なくありません。
日本語学校で日本語がほぼできない状態の初級の最初のクラスでは、教師が話すスピードも不自然なほどゆっくりですし、たどたどしい日本語を話す生徒であれば、小さい子供に教えるような感覚に囚われてしまいがちです。しかし相手は成熟した精神を持った大人であるということを前提に、指導を工夫しなければならないと感じたこともありました。
同じ「日本語」という言語扱う科目であるにも関わらず、このような違いがあるのは驚きですね。
日本語を自然と身に着けている、日本語ネイティブには、このような情報を知る機会も少ないです。学生時代に国語が得意だった人は、最初戸惑うかもしれませんね。
改めて、日本語って奥深いですね!
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