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日本語教師を目指している方や転職を検討していると、年収・給料がどの程度なのか気になりますよね。また、日本語教育現場は人手不足で給料が割に合わないのでは、という不安を持つ方もいらっしゃいます。
日本語教師の年収と働き方は、ここ数年で全体的に改善されたそうです。「同一労働同一賃金」「働き方改革」などの世の中全体の流れに加え、「日本語教師の国家資格化」も追い風になりました。
本ページでは、「KEC日本語学院」の所長、関大輔先生に日本語教師の給料事情と働き方について詳しくお伺いしました。現場の先生の声をぜひご参考ください。
関大輔 先生
KEC日本語学院で日本語教師養成講座を受講後、関西の日本語学校で10年以上活躍。その後、日本語教師養成講座の実践演習の講師としてKECの一員に。
現在はKEC日本語学院新宿校で所長を務める。
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関連記事:国家資格「登録日本語教員」とは?
関先生:
まずは、専任でやっていきたいのかっていう自分の意思がありますよね。事務作業とか、進路指導、生活指導はわずらわしい、授業だけをガツガツやっていくという選択肢もありますから。抱えるコマ数を増やして非常勤として活躍したければ、経験も増えれば単価も上がってお給料も良くなっていくわけですし。
わたしが日本語教師になった15年ほど前は、今とは全然事情が違いました。非常勤で週何日働くという、いわゆる下積み期間が3〜4年あるといわれていました。
今は管轄省庁の方針で専任講師を増やそうという動きがありますから、日本語学校としても専任講師を増員している傾向があります。
若い人たちが長く働くため、キャリアを積んでいくためにも、やはり増やしていきたいんですね。ですから、日本語教師をはじめて半年〜1年というのは即戦力とはみなさずに、育てるという意識に変わってきている学校が増えてきています。
「現状に不安を抱えて他の業種へ移ってしまう人が多い」というのは、今までのパターンであって、ネットでよく見かける状況ですが、過去の話です。
関先生:
今はかなり変わってきていて、3〜4年と言われていた下積み期間も、今では1〜2年と言われています。というのも、ここ数年でどの学校もワッと研修制度を始めるようになったんですよ。
留学生も増えているので当然日本語教師の数も足りてないんですよね。そうなると、経験の浅い先生も多くなってきますので、授業できるようになってもらうために研修を行うわけです。研修制度があるので、採用面接で模擬授業がきちんとできれば、少し研修すれば大丈夫とみなされて、未経験で専任講師になる場合もあります。
日本語学校が教師を「育てる」という意識を持ってる点が今までと大きく異なります。ただ、研修を行うのは専任講師なので、正直言うと専任講師の負担は少なからず増えているとは思います。
関先生:
わたしが養成講座を出た15年前でいうと、日本語学校で求人情報を出しますと、50通くらいは応募があるような時代でした。1、2名の募集に対して50通の求人ですから、昔は日本語教師の仕事自体が少なかったんですね。
日本語学校の数も今ほど多くなかったですし、学生も今ほどではなかったんです。先生方も同じ学校にずっといるわけですから、辞めない限りは新しい求人も出ないし、学生も急激に増えるわけでもなかったので。
今は、どこの日本語学校からも聞く話ですが、求人を出していても応募自体がほとんどないそうです。だから、お仕事自体はたくさんありますし、売り手市場ですね。
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関先生:
まず、日本語教師のメインの働き方として、「告示校」と呼ばれる日本国内の日本語学校で働く、というのがあります。日本語学校の中で先生をするというと、主任講師、専任(常勤)講師、非常勤講師という3つのポジションがありますが、主任講師に関しては、専任の経験が3年以上ないとなれなません。ですから、最初は非常勤講師、もしくは専任講師という2択になると思います。
日本語学校以外に最近増えているのは、プライベートレッスンやグループレッスンです。日本で働く外国のビジネスマン、もしくはそのご家族やお子さんに対して、マンツーマンやグループレッスンで日本語を教えていくお仕事。これも首都圏とか関西とかでは結構増えてきています。プライベートレッスン、グループレッスンというのは告示校にはあまりないお仕事です。
関先生:
あとは、技能実習生や研修生の指導・研修もメインどころのお仕事です。技能実習生とは、介護・農業・工業などの技術を学びに日本に来ている海外実習生のことで、ベトナムやインドネシアなど、アジアから来る方が多いです。
そのほかに、少数ですがインターナショナルスクールや私立高校で働くケースもあります。私立高校では、日本で進学を目指すために留学してきた生徒に対し、日本語を教えます。
このように、以前に比べて日本語教師の仕事は広がってきています。今までは日本語教師というと、「日本語学校」という選択肢が主なものでしたが、最近はいろんなところで日本語教師が活躍する場が広がってきています。
関先生:
基本的には非常勤というのは、授業だけをやってもらい、専任というのは、幅広く色々な業務をやっていくということです。
非常勤は、授業のコマ数だけの契約ですので、授業だけに専念できます。日本語学校によってばらつきがあるので絶対とは言えませんが、基本的に事務などはありません。
非常勤講師は授業だけとは言え、宿題やテストなどの採点業務も仕事になります。以前は、採点業務はサービス残業みたいな形で、給料や手当がつかない場合が多かったですしそれが当たり前のような業界でしたが、最近の傾向として、事務で残ってる時間もコマ給とは別に事務給を出す学校が増えてきました。
ここ2〜3年で、変わってきている実感があります。学習塾でも残業代不払いなどの問題がありましたが、日本語教師業界でも見直しの声が高まっているんです。
一方、専任講師は、月曜から金曜まで学校に常勤する、フルタイムのお仕事です。授業時間も毎日あります。授業時間以外は、学校の事務的なお仕事とか、教材作り、留学生たちのお世話などの仕事があります。学生管理といいますが、それには進学の指導、生活指導も含まれます。授業以外にこういった仕事があるのでフルタイムになります。
ですから、学校で授業の準備をする時間というのはあまりないので、授業に慣れている経験を積んだ先生に向いている仕事と言えます。
関先生:
未経験から始めた場合、一般的には、まずは週に2日から3日の非常勤で始めて、授業に慣れてきた段階で選択肢が出てきます。
まず一つは、専任講師を目指すということ。もう一つは、授業のコマ数を増やすということです。
コマ数を増やすというのは、例えば掛け持ちです。いろんな学校で週5日を埋める。あるいはプライベートレッスンやグループレッスンで、夜の時間帯や朝の時間帯、土日などを埋めていく。コマ数を増やすことで収入を上げていくパターンです。
必ずしも非常勤講師から専任講師になるだけがキャリアアップというわけではないんですね。日本語教師というのは、多様な働き方ができるし、活躍できる場も広がってきているので、「どうなりたいか」「どうしたいか」という本人の意思が一番重要になってきます。
例えば、安定した収入がほしいとなれば専任を目指せばいいし、生徒の生活指導はあんまり向いてないなって人であれば、コマ数をたくさん持って授業に集中できます。ゆくゆくはもっと学校の中心として力を発揮したいというのであれば、主任を目指して専任講師になるとか、どのキャリアを選択しても正解なんです。
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額面では地域ごとに差があります。例えば日本語教師の求人が多く給与が高いといわれている韓国や中国では、月給約10〜15万円程度です。
日本とは比較的距離の近い国ということもあり、日本文化との接点を持つ機会が日本語を学ぶきっかけになっているようです。物価の差額を考慮すれば現地での生活に足りる給与水準といえそうです。
中国で働く日本語教師にインタビューを行った記事もありますので、参考になさってみてください。
関連記事:中華人民共和国「洛陽外国語学校勤務」池田さんへのインタビュー
アメリカやヨーロッパだと、年収換算で150〜250万円程度に落ち着く方が多いようです。意外にも低いと感じる方もいるのではないでしょうか。
理由としては、日本人在住者が多いことや日本語教育者の充足が挙げられます。欧米は人口に比例して日本語学習者の数も多いですが、日本語教育の人手も充足しているため、給料が上がりにくい状況にあるようです。
また、副業で日本語教師を選ぶ人が多いことも、額面の数字に表れていると考えられます。給料の上下幅が広いため、現地で高年収の日本語教師もいることでしょう。
途上国の多い東南アジアでは、額面給与自体は8〜10万円程度。日本円換算で低いことには間違いありません。ですが、実は東南アジア諸国は、日本語教育者にとって好条件がそろっています。
ベトナムやマレーシアなど東南アジア諸国は日本語教師の求人が非常に多く、そのため額面は少なく見えても現地での給与水準としては高くなっています。ちなみに、10万円は米国ドル換算で約690ドルであるのに対し、ベトナム通貨では1650万ドンです。東南アジアでの日本語教師は、現地での生活水準を高く保ちやすい給与水準であることが伺えます。
このように、海外の場合はどこの国・地域で日本語教師をするかによって、給料は大きく変わります。海外で日本語教師として働く方法については、下記の関連記事で詳しく解説しています。
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今回のインタビューでは、日本語教師の給料事情と働き方について、現場の声をお伝えしました。
登録日本語教員(公認日本語教師)の話題や外国人の入国規制緩和の状況により左右される部分はあるものの、ここ5年ほどで日本語教師の待遇や働き方の改善状況は間違いなく上向いています。
日本語教師の資格は、取得のために半年以上の期間を見積もると余裕ができます。情報収集は今のうちに行っておきましょう。日本語教師になる方法やおすすめ講座は、「日本語教師ナビ」TOPページよりご覧ください。
ネガティブな イメージ |
評価 | 実際のところ |
---|---|---|
給料面 | ◯ | 単価は上昇中 |
専任:未経験の場合は大卒初任給程度から。 非常勤:年々上昇している。 採点のための残業は、手当がつく。 ※給料は地域差がある。 |
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未経験の採用 | ◎ | 未経験者でも積極的に採用 |
日本語教師不足もあり、学校側は未経験者も積極的に採用。 そのため研修を行い、教師を「育てる」学校が増えた。 |
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職の安定性 | ◎ | 正社員である専任講師になりやすい |
専任講師を増やそうとする動きがある。 若い人たちのキャリアを育てたい学校が増えている。 下積み期間の短縮化が進んでいる。 |
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求人数 | ◎ | 売り手市場 |
日本語教師の求人がないと言われていたのは過去の話。 留学生が増え、日本語学校も増えた今、求人は多い。 日本語学校以外にもビジネスマンや技能実習生などを 対象に教える仕事も増えている。 |
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関先生:
都市部ほど非常勤の給料は分かりやすく単価が上がってます。例えば、私が東京に赴任してきたときから今の求人広告を参考にしてみますね。45分を1コマとして、2013年は約1,500円だったのに対し2020年は約2,000円程度まで上がってきています。
つまり、20数年間上がらなかった給料が、ここ数年でぐっと上がってきているのです。待遇もかなり変わってきていて、先ほどの話にもあった、コマ給とは別に事務給などの手当てが出る学校もあります。
専任講師の給料はネットなどの求人票をみると、「20万円〜」などの最低給与額しか書いてないんですよね。これに、年齢とか経験とかを考慮して決まっていくので、もっと良い場合ももちろんあります。
さらに、ここ2〜3年で日本語教師の国家資格化について議論が進み、日本語教師という仕事の価値そのものが上がる見込みです。